福島第一原発の事故や電力供給の問題などを受けて、2011年頃から特に注目を集め始めた言葉があります。それは「スマートグリッド」です。日本語に訳すと「次世代電力網」となります。これが実現することで、より環境に優しく、より安定的な電力供給を見込め、災害時のような非常時にも電力を使えるようになります。
なお、類義語として「スマートシティ」や「スマートタウン」や「スマートコミュニティ」などといった言葉もあり、厳密には言葉の意味が微妙に異なりますが、当ページではわかりやすさを重視して「スマートグリッド」の表記に統一しています。
仕組み
まずはスマートグリッドの仕組みを簡単にご紹介したいと思います。スマートグリッドではある地域の電力(エネルギー)をコントロールセンターで管理します。コントロールセンターには、対象地域内の全ての発電所やビルや住居などといった建物の発電状況情報や使用電力情報がリアルタイムで入っています。
また、対象地域内の住居には「HEMS」と呼ばれる家庭用エネルギー最適化システムが、ビルには「BEMS」と呼ばれるビルエネルギー最適化システムが、工場には「FEMS」と呼ばれる工場エネルギー最適化システムが導入されます。
この「HEMS・BEMS・FEMS」の各システムが発電や蓄電や使用電力量などの情報を集め、オンライン通信でコントロールセンターに集めた情報を送ります。その情報を分析して、コントロールセンターで電力の最適化を図るという仕組みです。
言葉だけでは分かりにくいかと思いますので、1つの外部サイトをご紹介します。経済産業省の「スマートコミュニティとは」というページです。画像を用いて分かりやすく解説しています。
ゼネコンとの関係
先に簡単にスマートグリッドの解説をさせて頂きましたが、このスマートグリッド構想において、ゼネコンは非常に重要な役割を果たします。なぜならビルや工場や発電所などといった大型施設を施工するのがゼネコンだからです。
スマートグリッドに関する団体として「スマートコミュニティ・アライアンス」という官民一体となった団体があります。実際にホームページの会員一覧の項目をご覧頂ければと思いますが、鹿島建設や清水建設などといったゼネコン各社が名を連ねていて、建設業界におけるスマートグリッドへの注目度の高さがうかがえます。